9. 富士登山8回目 

2006年 8月3日〜8月4日

 

今回は原点にたちかえって、久々の富士を訪れてみた。実に10年ぶり。
特筆すべきは、全体的にキレイになった事だ。山小屋、トイレ、ゴミ等。
富士の夏山シーズンは7月1日から8月26日までである。
この期間は山小屋も営業している。他の時期に行ったことはない。
吉田口登山道から山頂を目指す。

鶴見  4:41 − 4:48 東神奈川 (京浜東北線始発・7分)
東神奈川4:54 − 5:48 八王子  (横浜線・54分)
八王子 5:50 − 5:57 高尾   (中央線・7分)
高尾  6:01 − 6:38 大月   (中央本線・37分)
大月  6:53 − 7:43 河口湖  (富士急行線・50分)
河口湖 8:30 − 9:20 5合目  (路線バス・50分)
(スバルライン経由。バスは片道1500円だけど往復にすると2000円。2日間有効。他のルートで下山した事は、まだない。)

片道の交通費、全部で3560円。

ようやく5合目バスターミナルに着く。
途中、4合目あたりは濃い雲の中で心配したが、上は晴れていてよかった。

すぐには歩かず、持ってきた赤飯おにぎりをゆっくりと半分、食べる。
コーヒーアンドミルクも飲む。一服しながら写真も撮る。
5合目の標高は2305m。山頂までの差は1471m。
バスで一気に上がってきたので、高さに体を慣れさせる。
山頂は雲に隠れたり、見えたりのくり返しだ。団体客が沢山いる。

 

5合目ターミナルから山頂をあおぐ

ボーシをかぶり、花粉よけゴーグルをつける。ハンドタオルをボーシのヒモにかけて、マスクにする。すべて火山灰対策である。
金剛杖は、持たない。(初期の頃は買ったが)

10時近くになり、ボチボチ出発。
と、例の観光馬車がいる。そうか、ターミナルから少し離れた所へ移動したから、臭くなかったんだ、と納得。ゴミの山もなくなっていた。

 

歩きはじめの登山道

登山道は県道なんだって。下山してきた多くの人達とすれ違う。
もうちょっと涼しいかと思っていたが、天気がよく、汗ばむくらいだ。
途中、6合目の安全指導センター前で水色の案内紙をもらう。
注意点や地図などが載っていて、大変役に立つ。
 

分岐点

10:50頃、登下山道の分岐点に着く。基本的には一方通行である。

さあ、いよいよ登山のはじまりだ。
とは言っても、20〜30歩ぐらいで立ち止まっては呼吸をととのえる。
景色を見る。また数えながら歩く。そのくり返し。
夕方までに8合目へ行く予定なので、余裕である。
汗水たらして苦行する気は全くない。
高山病にもなりたくないし。ゆっくりと体を慣らしていく。
 

山小屋

上を見ると、まるで砦のように山小屋が並んでいる。まだあんなに小さい。
私の歩いている吉田口登山道には14もの山小屋がある。
めざすは下から12コめの富士山ホテル。8合目。
 

下界

高い所大好き人間の私としては、下界の雄大な景色を見ている方があきないかも。時折、雲に包まれて涼しくなったり、晴れたりのくり返しだ。
 

岩場

山小屋は頑丈な岩の上に建っているので、近づくにつれ登山道も岩場が多くなってくる。軍手をはめて、両手両足を使ってよじ登る。
クサリがあるので、その外へ出なければ大丈夫。
 

山小屋

少し、山小屋が近くなったかな。あせっても仕方がない。
崩落防止の石垣が、随分と整備されてきた。
 

雲海

こんなにカメさん歩きなのに、ふり返ると通り過ぎてきた山小屋があんなに小さく見える。ウン、満足。上を見りゃ、きりがない。
 

雲海にうつる富士の影

夕方5時頃にやっと8合目の富士山ホテルへ到着。
なんと、7時間近くもかかったことになる。

なぜ富士山ホテルにしたかというと、近年泊まりはここと決めていて、壁の張り紙に何年何月に来た、と書き足していたのだ。
ところが改築して先月オープンしたばかり、という立派さ。
当然、壁じゅうにあったはり紙もなし。悲しいような、うれしいような。
捨ててはいないって。こんどはアルバムになったそうで、持ってきた今年用の紙、はさんでくれた。

素泊まりは5400円。2段ベッドの上。まだ混んでいないせいか、指定されたフトンの両脇は1つずつ空いていた。この配慮はうれしいね。
やっぱり平日に来てよかった。頭と足、互い違いは1度でよろし。

山小屋前のベンチで雄大な景色を前にビールを飲む。600円。やれやれ。
雲海にうつった富士の影が、とてつもなく大きい。
一服して他の客と話しこんでいたら、けっこう寒くなってきた。
中でカップヌードルを食べる。500円。カップ酒600円。
私の夕食はこれで終わり。
夕食、弁当つきの宿泊もある。

トイレの小屋も随分立派になっていて、ジェット・ガンというホースつきの水鉄砲で流す。排水口のフタがパカッとなって少ない水でもキレイになる。
当然、臭くない。とにかく水は貴重なのだ。
宿泊客はタダ。普通は有料で100円。5合目から、どこも同じ料金だった。

翌朝の行動別に起こしてくれる。ほとんどが夜半出発組なので、7時半頃、
フトンに入る。なかなか眠れるもんじゃないけどね。

そして夜中の1時45分、廊下の電気が点いて起こされる。
ウィンドブレーカー、防寒ジャンバーを着て、バファリンを2錠、飲む。
これは高山病の頭痛対策である。まだ平気だが。

トイレで並んでいたら、通りすがりの女の人がいきなり洗面台で吐いて、
そのまま行っちゃった。ヒドイ事するなぁ。つまるぞ。宿の人に言ったら、
やかんを持って掃除に行った。

ここのスタッフはみんな親切で面白い人達だった。
ついでに言えば、カッコ良かった。ありがとうございました。

そして2時20分頃出発。
ヘッドライト、懐中電灯を点けた人達がゾロゾロと続く。
私も持っているが、あまりにも前後が明るいので、結局最後まで使わないですんだ。こんなの初めて。ライトの性能が良くなったのかなー。

さすがにみんなも、ゆっくり登る。団体もいるし。
満点の星空の下、気温は4度だったそうだ。
今回、風はほとんど無いのでさほど寒さは感じない。
流れ星は2つ見た。願い事?ふふん、ないしょ。

明るくなり始めると、どんどん早い。星々が消えてゆく。
その中で、多分金星だと思うがとっても目立ってステキ。
山頂直下のいい場所に陣取り、一服する間もなく、御来光。

 

御来光

素晴らしい。やっぱり来てよかった。今までの疲れもふきとぶようだ。
よその団体といっしょに万歳三唱をする。下の点々は夜景の名残り。
 

もうすぐ山頂

やっと山頂の鳥居直下。日の丸がひるがえっている。いいね。
近くに見えるが、もどかしいほどまだ遠い。
 

鳥居前、あと少し

どんなにこの光景を夢見たことか。
ケータイだと、写真少し大きいね。以後、写りのいい方を載せる。
 

鳥居とコマ犬

もう感無量。下山してくる人達の表情が明るい。
 

鳥居をふりかえる

もう、そこは歩かなくていいんだよ。雲海もステキ。
 

直前

いよいよ、あと数歩の感激をゆっくり味わいたい。
 

山頂

やった。5時20分。山頂の一角、久須志岳に到着。
出発してから3時間かかったけど、何度来ても嬉しい。
右側の久須志神社でお札を買う。

そして、山頂を一周する”お鉢廻り”をはじめる。
もう歩きたくない心境もあるが、やっと来てすぐ帰るんじゃ、あまりにももったいない。時計廻りにスタートする。
 

大日岳からふり返る

となりの大日岳から先程の神社を振り返る。
みやげ物屋が並んでいて、かなりにぎわっている。
またキーホルダーを買ったっけ。気がつけば富士山の物が、どんどんたまる。
左端、迷彩服のグループ、新品の金剛杖を携えて不思議な人達だった。
吉田口下山道は、写真中程の右下から分岐している。
山頂を一周して、お鉢巡りを終えたら、そこから降りる予定。
 

火口と剣ガ峰

同じく大日岳から、正面に最高峰の剣ガ峰が見える。
下は噴火口だ。
 

次の山頂

山頂には8つのピークがある。剣ガ峰から時計廻りに白山岳、久須志岳、大日岳、伊豆ガ岳、成就ガ岳、駒ガ岳、三島岳というそうだ。
はたから見ればでーっかい富士山なんだけどね。
現場へ行くとかなりデコボコしている。
ここでお鉢廻りのコースは楽な外側へ迂回する。
 

振り返る

今の山頂を振り返る。
 

雲海

宇宙へつきぬけるような青い空。
太陽の光が白く強烈だ。
あまりにもゆっくり登ってきたので、それほど空気のうすさは感じない。
気圧は平地の3分の2だそうだが。
道中、ケータイはアンテナが立ったり、立たなかったりした。
 

浅間大社奥宮

ボーシをとり、二礼二拍一礼をする。
いつも靖国でやっている。
 

郵便局

となりは郵便局。ここで母親宛に富士バージョンの暑中見舞いを出す。
驚いたことに、翌日の土曜日には横浜へ着いたそうだ。
これってスゴイかも。7月10から8月20までの間、朝6時〜午後2時に
営業しているそうだ。郵便のみだが。
 

剣ガ峰

測候所の白いドームがなくなって、ちょっと悲しい。
プロジェクトXでやってたよなぁ。
ここの登りは急坂で、ザクザクすべる。
逆コースで下るほうがキツイかもしれない。
 

山頂の碑

測候所前。ここが日本の最高所である。3776m。
すごい、こんな小さな子まで登ってきたんだ。
 

雲海

遠くの山々がステキだ。下界はよく見えないけど。
いつぞや、江ノ島、ランドマークタワー、房総半島まで見えたこともあった。
これだけ快晴にめぐまれて文句は言えない。
 

雲海

途中、双眼鏡を持った人が槍が岳を見つけたらしい。
今日はもやがかかっていて、肉眼ではちょっとムリ。
 

火口の雪

1mくらい下は永久凍土だそうだ。
私の歩くコースは火口側を通る”内院巡り”といって楽なほうの道。
 

山中湖

よく言われる、”胃ブクロのような”形の山中湖が見える。
とっても名残惜しいけど、そろそろ山上に別れをつげる。
お鉢巡りは結局3時間もかけた。
というか、せっかく来たんだものね。
他のガイドの説明とか聞きながら、ゆっくり満喫しました。
 

下山道

8時20分、いよいよ下山開始。山頂のトイレはここだけ200円。
あとしばらくトイレはない。

ザクザクすべる道をジクザグに、慎重に、限りなくおりてゆく。
以前は9合目から6合目まで一直線に降りられたのに、落石事故があって以来、こっちの道になってしまった。やっぱり安全第一だよね。
いい加減慣れたけど、やっぱり単調で飽きる。火山灰の砂ボコリがすごい。
再びハンドタオルでマスクをする。軍手もつける。
何度かコケる。ゆっくりなので、スローモーションでシリモチをつく。
ここまできて、ケガをするわけにはいかない。

なんと4時間半かけて、やっと5合目のバスターミナルに着く。
やれやれ、おつかれさま。

(今回の全装備と持ち物)
長袖、長ズボン、スニーカー、ボーシ、花粉よけゴーグル、髪止めゴム、軍手、腕時計

メッシュのフィッシングベスト(サイフ、カギ、連絡先の紙、バンドエイド、バファリン、輪ゴム、名刺がわりのホームページの紙、テレフォンカード、ケータイ、安全ピン、つまようじ、フリスク、ティッシュ、メンソレのリップ(残り少ないヤツ)、Mセブン1個、ライター、携帯灰皿、ハンドタオル、メモ紙、ミニ鉛筆)、

ナップザック(防寒ジャンバー、ウィンドブレーカー、使い捨てカメラ(砂除けにビニール袋に入れる)、メガネ(ケースも)、コンタクトレンズのケース(洗浄液、保存液も)、洗濯バサミ(ボーシとフードを止める)、雨ガッパ(使わなかった)、ティッシュ(使わなかった)、懐中電灯(使わなかった)、サラミ(食べなかった)、ミルクキャンデー(食べなかった)、朝買った赤飯おにぎり(半分食べた、というか残りを食べ忘れた)、水500、コーヒーアンドミルク500(それぞれ丁度足りた))で、3キロ。
限りなく手ぶら人間なので、金剛杖は持たない。

日焼け止めは家で塗っておく。化粧も同じく。ヘアーブラシのかわりに手櫛。

ちなみに、ここも山小屋ではタバコ売っていないそうだ。
酸素のボンベは売っている。気休め程度とは思うが。上に行くにつれて値段が高くなる。1500円くらいになったかな。1度買ったことがある。結局使わずじまいで、次のときにシューッと吸ったくらい。何分も使えないけど。

(あとがき)
登り10時間、お鉢巡り3時間、下り4時間半で、普通の1.5倍くらい時間をかけたが、今までで一番楽に歩けた。

最初は中学生の時、親と行って高山病で頭痛と吐き気に悩まされた。
その後、当時幼かった娘を置いて家族で1回、中学生に成長した娘と家族で1回。あとはずっと1人である。

脳はイヤな事を忘れるように出来ているので、くたびれて帰って来ても1年くらいするとまた行きたくなる。不思議な魅力を持った山だと思う。
”見る山であって、登る山ではない”と言う人も、1度くらい登ってみても損はないのでは。

改めて見ると一層の感慨があるように思う。
まして、登山の翌週、相模湾の釣船から見る富士は格別である。